虫歯が増えたのはスマホのせい?
ネット依存と歯の健康を見直そう
なぜ今「スマホ」と「虫歯」が
関係しているのか?

子どもの虫歯が再び増加傾向にある。そんな報告が各地の歯科医から寄せられています。背景にあるのは、コロナ禍を機に進んだ「スマホやネット依存」の深刻化といわれています。
生活習慣の乱れや歯磨きの手抜きに加え、長時間のスマホ使用によって口呼吸が増えたり、唾液の分泌が減少したりすることで、虫歯菌が繁殖しやすい口腔内環境に変化している可能性があります。
スマホが子どもの“見えない虫歯リスク”を生んでいるかもしれません。
本記事では、ネット依存と虫歯の関係、親ができる管理のポイント、歯科医による予防アドバイスまで、歯の健康を見直すヒントをお届けします。
目次
1.スマホと虫歯の意外な関係
「ネットやゲームの時間が長くなるほど、虫歯リスクも高くなる」
これは単なる偶然ではありません。
ネット依存やゲーム依存になると、長時間同じ姿勢で過ごすことが増え、口を開けたまま無意識に「口呼吸」をしてしまい口内が乾燥し、唾液の抗菌作用が低下することで、虫歯菌が繁殖しやすくなります。
また、スマホに夢中になるあまり、歯磨きの時間が雑になったり、夜更かしによって歯磨きを忘れてしまったりするケースも少なくありません。
2.“ながら間食”が虫歯を招く

スマホやゲームを見ながら、つい手が伸びてしまう「おやつ」や「ジュース」。この“ながら間食”は、子どもの虫歯リスクを大きく高める要因のひとつです。
本来、食事をすると口の中は一時的に酸性に傾きますが、時間の経過とともに唾液の力で中性に戻っていきます。ところが、だらだら食べ続ける習慣や“ながら間食”は、口腔内のpHが低い状態(酸性)を長時間持続させてしまいます。
この状態を視覚的に示したのが「ステファンカーブ」という図です。
ステファンカーブでは、食事のたびにpHが急降下し、その後回復していく様子が描かれていますが、間食の回数が多いとpHが回復しないまま、何度も酸性域を繰り返し、歯のエナメル質が溶けやすい環境が続いてしまうのです。
さらに問題なのは、スマホやテレビを見ながら食べると、“食べ終わった”という意識が曖昧になります。 気づけば長時間ダラダラとお菓子やジュースを摂取しているケースが多く、そのまま歯磨きせずに寝てしまうといったこのコンボは虫歯リスクを一気に高めます。
最近では、共働き家庭の増加や日々の忙しさから、子どもの間食のタイミングや内容まで目が届きにくいケースも少なくありません。その結果、いつの間にか“ながら間食”が習慣化してしまっていることもあります。
3.家庭でできる“ながら間食”対策
“ながら間食”による虫歯リスクを減らすには、子どもの行動だけでなく、家庭の環境づくりと親の声かけがカギを握ります。
以下に、すぐに実践できる具体的な対策をご紹介します。
食べたらすぐに歯を磨く
甘いおやつやジュースを摂った後は、できるだけ早く歯を磨く習慣をつけましょう。糖分が口の中に残る時間が長くなるほど、虫歯菌が酸を作り出す時間も長くなり、エナメル質が溶けやすくなります。
小学生の場合、「食べ終わったら歯磨きまでがセット」と伝え、時間がない時はうがいだけでもしておくなど、“そのまま放置しない”意識づけが大切です。
ポイント:「おやつのあとは、すぐにゴシゴシしようね!」と親子で声をかけ合うことで、習慣化がスムーズになりやすいです。
寝る前の飲食は控える
夜は唾液の分泌量がぐっと減り、自然な再石灰化(歯の修復機能)が十分に働かなくなります。そのため、寝る前に甘いものや炭水化物を摂ると、虫歯リスクは昼間以上に高くなります。 「夜9時以降は食べない」「夕食後は歯磨きをしたらもう口に入れない」など、ルールを家庭で明確にすることが効果的です。
おやつは「時間」と「量」を決めて、親が一緒に管理する
おやつは悪者ではありません。問題は“だらだらと時間を決めずに食べること”です。例えば、「午後3時に30分間だけ」「おやつは1日1袋まで」といったルールを、親子で一緒に決めて守ることが大切です。 小分けパックや、お皿に盛ってから出すのも有効。袋から直接食べると、どれだけ食べたかの意識が薄れてしまいます。
工夫例
- 曜日ごとにおやつメニューを決めておく
- 市販のおやつに加えて、果物やチーズなど歯に優しい選択肢も取り入れる
“ながら”を防ぐために、スマホ・テレビは消して食べる環境を作る
スマホやテレビを見ながら食べると、食事への集中力が下がり、咀嚼回数が減る、食べた量がわからなくなるなど、虫歯だけでなく肥満や消化不良の原因にもつながります。 「おやつタイムは“画面オフ”がルール」と家庭内で明文化し、食べる時間を親子の会話タイムや気持ちの切り替えの時間とすることで、テレビやスマホを消して食べる習慣が、子どもの“今に集中する力”を育み、健全な生活習慣づくりにもつながります。
4.家庭で見直したい、歯の健康を守る生活習慣
虫歯予防は、特別なことをする必要はありません。大切なのは、「毎日の当たり前の行動」を丁寧に積み重ねること。スマホやネットに囲まれた現代だからこそ、家庭の中で意識して見直したい習慣があります。
歯磨きのタイミングをルーティン化する
- 朝起きた後と夜寝る前、1日2回の歯磨きを習慣にする
- 夜は保護者の仕上げ磨きを取り入れる(小学校中学年(3〜4年生)ごろまでが目安)
- 忙しい日は「今日はどこが磨けたか」を親子で話すだけでも効果あり

スマホとの付き合い方を整える
- 食事中・歯磨き前後のスマホ使用は控える
- 1日のスマホ時間には目安を(例:平日は1時間まで)
- アラームやアプリを使って、時間のメリハリをつける工夫も◎

親子で一緒にケアする時間をつくろう
- 週末は一緒にフロスや歯間ブラシにチャレンジ
- 歯磨きを“しなきゃ”ではなく“楽しい時間”にする工夫を
例:「歯磨きソングをかける」「磨いた歯を鏡でチェックする - 仕上げ磨きは、子どもとのスキンシップタイムと捉えて取り組む

高学年以降は“見守り型サポート”にシフト
小学校高学年になると、「もう仕上げ磨きは嫌」と言われたり、自立を尊重したくなったりする時期です。
しかし、このタイミングこそ永久歯が生えそろい始め、虫歯リスクが高まる時期でもあります。
- 週に数回はライトで口の中を照らして磨けているかを確認
- フロスや歯間ブラシを親子で一緒に使ってみる
- 歯磨きアプリやタイマーで、楽しみながら“自立”を応援
また、「ちゃんと磨きなさい」ではなく、「自分で守れるってかっこいいよね」「おとなの歯は、治療しても元には戻らないから大事にしよう」といった前向きな声かけが、子どもの予防意識を育てるうえで効果的です。
家庭の中でできるケアの質を少しずつ高めていくことが、子どもの未来の歯を守る第一歩です。生活習慣を“親子で育てる”視点で、ぜひ無理なく取り入れてみてください。
5.歯科医が教える、虫歯予防の最新ポイント
虫歯を防ぐには、毎日の歯磨きに加えて、歯科医院での定期的なケアも欠かせません。
最近は「治療」より「予防」に重点を置く考え方が広がり、子どもの歯を将来まで健康に保つための取り組みとして、フッ素塗布・シーラント・定期検診が注目されています。
フッ素塗布:歯を強くし、初期虫歯の進行を防ぐ

フッ素には、歯の表面を酸から守る働きがあり、さらに、酸で溶け始めた部分を再び硬くする「再石灰化」を促す効果もあります。家庭で使う歯磨き粉にもフッ素は含まれていますが、歯科医院で使用する高濃度のフッ素は、市販品よりもはるかに高い予防効果が期待できます。
特に、生えたばかりの永久歯は表面が未熟で酸に弱く、虫歯になりやすいため、年に2〜4回のフッ素塗布が勧められます。処置は数分で終わり、痛みもないため、小さな子どもでも安心して受けることができます。日本の水道水にはフッ素が含まれていないため、こうしたケアを意識的に取り入れることが、子どもの虫歯予防には非常に重要です。
シーラント:奥歯の溝を守る虫歯予防のコーティング

奥歯のかみ合わせの面には深く細かい溝があり、そこに食べかすや細菌がたまりやすくなっています。特に6歳前後に生えてくる「6歳臼歯」は、まだ磨きにくく、本人も保護者も気づきにくいため、虫歯になりやすい歯の代表格です。 シーラントは、その溝を歯科用の樹脂であらかじめ埋めておくことで、汚れや菌の侵入を防ぐ予防処置です。歯を削らずに済み、処置中の痛みもほとんどないため、子どもにも負担の少ない方法です。虫歯になってしまうとシーラントは適用できないため、「虫歯ができる前」のタイミングで行うことが重要です。 また、シーラントは時間の経過とともに取れてしまうこともあるため、定期的に状態を確認してもらうと安心です。
定期検診:早期発見と正しいケアで守る子どもの歯

子どもの虫歯は進行が早く、痛みが出たときにはすでに治療が必要な状態まで進んでいることも少なくありません。歯科医院での定期検診を3〜6か月に1回のペースで受けておくことで、初期段階での虫歯の発見や、歯磨きのクセ、仕上げ磨きのチェックなど、家庭では気づきにくい問題に早めに対処できます。 さらに、定期検診では虫歯以外にも、噛み合わせの異常や歯並び、口呼吸の兆候など、今後の健康に影響するリスクを幅広く見てもらえます。歯医者に通う目的を「治療のため」から「守るため」に変えていくことが、子ども自身の予防意識を育てる第一歩にもなります。 インターネット上には歯の健康に関する情報があふれていますが、子どもの歯は成長とともに状況が変わるため、自己判断ではなく、歯科医による定期的なチェックを受けることが、最も確実で安全な方法です。 このような基本的な予防処置を定期的に取り入れることで、「虫歯を治す」から「虫歯をつくらない」習慣へ。未来の歯を守るために、今できることを少しずつ始めてみましょう。
6.今こそ「ネットと歯の健康」の関係を見直そう

スマホやネットは、現代の生活に欠かせない存在です。しかし、それと引き換えに「虫歯が増える」という事実から目を背けてはいけません。
歯の健康は、食事・睡眠・会話といった生活全体とつながっています。親のちょっとした気配りと、子どもの毎日の習慣づけが、未来の歯を守ります。
今日から、家族でできる一歩を踏み出してみませんか?
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ご予約
さくら会ではなるべく患者様をお待たせしないよう、ご予約優先制となっております。 ※ネット予約は初診の方限定です。
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来院
初診の方は問診票記入の為にご予約時間より10~15分程度早くご来院をお願いしております。 また、保険証・医療券・お薬手帳などをお持ちいただき、受付にてご提示ください。
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カウンセリング
最初は現在お口の気になる症状などを担当スタッフがお聞きいたします。お悩みやご相談がある方はお気軽にご相談ください。伺ったお話をもとに治療計画を作成いたします。わからないことがある方は、ご質問もしていただけます。
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診療
初めての方は、まずレントゲン撮影と検診を行います。 その後、衛生士による口腔内のお掃除をさせていただく場合もあれば、痛みや腫れがある場合は症状が和らぐよう処置をさせていただく場合もございます。
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お会計
処置終了後、そのまま次回のご予約をお取りします。新しい診察券をお渡しいたしますので、次回はそちらを受付までお持ちいただきます。お会計を受付もしくは自動精算機で済ませてお帰りください。