歯の噛み合わせとスポーツ運動の関係性
科学的根拠とパフォーマンス向上効果

多くのオリンピック選手が、パフォーマンス向上のために歯並び矯正を行っています。この記事では、正しい噛み合わせがスポーツパフォーマンスにどのように影響を与えるのかを探ります。
目次
1. 噛み合わせがスポーツパフォーマンスに与える4つの効果
歯の噛み合わせは単なる咀嚼機能を超えて、全身のバランスと運動能力に直接影響を与えます。特にスポーツ選手にとって、正確な噛み合わせは競技力向上の重要な要素となっています。

1. 筋力アップ効果:4-6%の能力向上
歯をしっかりと食いしばることで、筋力が約4~6%程度アップすると言われています。これはわずかな差に見えますが、競技においては1%でも勝敗を分ける大きな要素となります。
メカニズム
- 上下の歯が合わさると、脳の「運動野」に「噛んだ」という情報が伝達
- 骨格筋の反応や動きに影響を与える
- 力の入れ具合を調整するバロメーターとして機能
2. バランスと安定性の改善
正しい噛み合わせは、頭部と首の位置を最適化し、全体の姿勢のバランスを改善します。これにより、スポーツ時の動作の精度が向上し、怪我のリスクが減少します。
重要ポイント:特に犬歯より奥の歯をしっかり噛むことで、首の安定や体軸のブレ防止につながり、パフォーマンスの質が向上します。
3. 呼吸効率の最適化
噛み合わせが整っていると、顎と首周りの筋肉がリラックスし、呼吸が楽になります。これにより、運動時の酸素の取り込みが増え、パフォーマンスが向上します。
4. 集中力向上とストレス軽減
噛むことで前頭前野の血流が改善され、集中力と判断力が高まります。また、唾液の分泌が促されるため、水分補給の難しいスポーツ選手にとっても有益です。
歯のクレンチング(噛みしめ)は、ストレス時の一般的な反応ですが、これが過度になると集中力に悪影響を及ぼします。噛み合わせが改善されると、無意識のうちのクレンチングが減少し、より冷静に競技に臨むことができます。
2. 科学的根拠とデータ
研究で証明された具体的効果
- 筋力向上:4-6%
歯を食いしばることによる筋力アップ効果(東京歯科大学研究) - バランス改善:30%
ブレの少ない安定したフォームの維持 - 反応速度向上:15%
判断力・反射神経の改善 - 怪我予防:40%
スポーツ外傷リスクの減少
スポーツ歯学の発展
1998年のバンコクアジア競技大会で歯科トラブルによってパフォーマンスを発揮できなかった選手がいたため、その後、日本オリンピック委員会から選手に対して歯科検診が義務付けられるようになりました。
2011年に施行された「スポーツ基本法」では、スポーツに関する科学的研究の推進等の項目で歯学も重要な研究領域として明記されています。
3. オリンピック選手が歯並び矯正を選ぶ理由
多くのトップアスリートが、競技力向上のために歯並びの矯正を行っています。矯正治療を受けることで、上記のような身体のバランスや呼吸効率の向上が期待でき、これが直接的な競技成績の向上につながります。

アスリートが得られる具体的メリット
- 噛むタイミングの最適化:競技中の力の発揮タイミングを正確にコントロール
- 体軸安定化:ブレの少ない安定したフォームの維持
- 怪我予防:バランス改善による外傷リスクの軽減
- 集中力維持:顎周辺の緊張軽減による長時間集中の実現
競技別の効果
- 瞬発系競技(陸上短距離、重量挙げ等):筋力発揮の最大化、スタート時の集中力向上
- 持久系競技(マラソン、サイクリング等):呼吸効率改善、長時間の体軸安定
- 技術系競技(体操、フィギュア等):バランス感覚向上、精密動作の安定化
4.歯並び矯正治療の方法と費用
歯並び矯正は、個々の状態に応じて様々な方法が用いられます。スポーツ選手の場合、競技活動を継続しながら治療を進められる方法を選択することが重要です。

主な矯正治療の種類
1. ブラケットとワイヤー矯正
- 特徴:伝統的な金属のブラケットとワイヤーを使った矯正で、広範囲の歯の移動が可能
- 費用:50-100万円
- 治療期間:2-3年
- スポーツ対応:マウスガード併用で競技継続可能
2. セラミックブラケット矯正
- 特徴:目立ちにくい白色ブラケットを使用
- 費用:70-120万円
- 治療期間:2-3年
- スポーツ対応:審美性を重視するアスリートに適している
3. マウスピース矯正(インビザライン)
- 特徴:透明なプラスチック製のアライナーを使用、取り外し可能
- 費用:80-150万円
- 治療期間:1.5-2.5年
- スポーツ対応:競技時の取り外しが可能で最もスポーツに適している
4. スポーツマウスガード併用
- 特徴:矯正治療と並行してスポーツ用マウスガードを作製
- 追加費用:+10-20万円
- 効果:歯の保護とパフォーマンス向上を同時に実現
まとめ

歯の噛み合わせとスポーツ運動能力には科学的に証明された密接な関係があります。正しい噛み合わせにより、筋力向上、バランス改善、呼吸効率アップ、集中力向上という4つの主要な効果が期待できます。興味がある方は、かかりつけの歯医者に相談して、個々のニーズに合った最適な矯正治療計画を立てることをお勧めします。
よくある質問
- 歯の噛み合わせが悪いとどのような運動への影響がありますか?
- 噛み合わせの不良は体全体のバランスに影響し、以下の問題を引き起こします:
- 筋力発揮の効率低下(最大筋力の10-15%減少)
- 体軸の不安定化による怪我リスク増加
- 持久力の低下(呼吸効率の悪化)
- 集中力の散漫(顎周辺の筋緊張による影響)
- スポーツ選手の歯並び矯正費用の相場はいくらですか?
- 治療方法別の費用相場:
- 従来型ブラケット矯正:50-100万円
- セラミックブラケット:70-120万円
- マウスピース矯正(インビザライン):80-150万円
- スポーツマウスガード併用プラン:+10-20万円
- 競技を続けながら矯正治療は可能ですか?
- はい、可能です。以下の方法で競技活動と両立できます:
- マウスピース矯正の選択(取り外し可能)
- スポーツ用マウスガードとの併用
- 競技スケジュールに合わせた治療計画調整
- 緊急時対応の事前準備
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ご予約
さくら会ではなるべく患者様をお待たせしないよう、ご予約優先制となっております。 ※ネット予約は初診の方限定です。
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来院
初診の方は問診票記入の為にご予約時間より10~15分程度早くご来院をお願いしております。 また、保険証・医療券・お薬手帳などをお持ちいただき、受付にてご提示ください。
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カウンセリング
最初は現在お口の気になる症状などを担当スタッフがお聞きいたします。お悩みやご相談がある方はお気軽にご相談ください。伺ったお話をもとに治療計画を作成いたします。わからないことがある方は、ご質問もしていただけます。
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診療
初めての方は、まずレントゲン撮影と検診を行います。 その後、衛生士による口腔内のお掃除をさせていただく場合もあれば、痛みや腫れがある場合は症状が和らぐよう処置をさせていただく場合もございます。
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お会計
処置終了後、そのまま次回のご予約をお取りします。新しい診察券をお渡しいたしますので、次回はそちらを受付までお持ちいただきます。お会計を受付もしくは自動精算機で済ませてお帰りください。