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今どきの高校球児は歯を守る?!
高野連も認めている
マウスピース着用理由

はじめに

高校野球

近年、高校野球の世界でもマウスピース(マウスガード)の使用が一般的になっています。現在、日本高野連と日本学校歯科医会が選手の安全とパフォーマンス向上を目的として、マウスピースの着用を奨励しています。(ただし白色か透明なものに限る) この記事では、なぜ高校球児がマウスピースを着用するのか、その理由と効果、種類と値段について解説します。

目次

1.スポーツ用マウスピースの着用理由 2.スポーツ用マウスピースの種類と値段 3.スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点 4.スポーツ用マウスピースのお手入れ方法 5.まとめ

1.スポーツ用マウスピースの
着用理由

高校野球においてマウスピースの着用が推奨される主な理由は、選手の安全を最優先に考えるためです。歯や顎の怪我は、選手のキャリアに大きな影響を与える可能性があります。
また、安心してプレイできる環境を提供することで、選手のメンタル面のサポートも図れます。

野球_ぶつかる

強い噛みしめから歯と顎(あご)を守る

野球に限らずスポーツをしている時には「歯をくいしばる」場面が多々あります。これを何十回と繰り返し、毎日繰り返していると歯の摩耗(咬耗:こうもう)だけではなく、 顎の位置がズレてしまって顎の痛みを引き起こしたり、ひどいときには歯の欠損や頭痛などを誘発することがあります。
マウスピースを使用することで、歯だけではなく顎関節を保護できます。

直接的なスポーツ外傷を防ぐ

強い衝撃が口元に加わった際に、その衝撃を吸収し分散させることで、歯の破折や顎の骨折を防ぎます。

野球では、他の選手と直接接触したり、フェンスにぶつかってしまったりすることで口の中をケガすることがあります。歯は硬くとがっているため、口周りに衝撃を受けると唇や舌を切ってしまうおそれがあります。
マウスピースを装着して歯を保護することで、粘膜や舌が傷つくのを防止でき、こうした接触によるケガを防ぐという意味でも、マウスピースを使用することによって安心感を得られることが考えられます。
マウスピースの通気性と発音のしやすさも大事なポイントです。マウスピースを使用してもしっかり呼吸ができ、コミュニケーションが取れるかどうかで怪我のリスクを軽減することに繋がります。

なお、スポーツマウスピースは野球以外にも多くの競技で着用が推奨されています。以下は代表的な競技とその理由の一覧です。

競技名 推奨・義務化理由
野球(高校野球) 日本高野連と日本学校歯科医会が、歯や顎の外傷予防を目的に白色または透明のマウスピース着用を奨励
ラグビー 激しいタックルや接触での口腔・顎の外傷防止
アメリカンフットボール 強い衝突による歯や顎の損傷、脳震とうリスク軽減
アイスホッケー 高速パックやスティック接触による歯の破折防止
ボクシング・総合格闘技(MMA) 打撃や組み技による歯・口腔粘膜損傷予防(多くは義務化)
空手・キックボクシングなどの武道 顔面部への打撃から歯や顎を守る(大会規定で義務化多い)
バスケットボール・ハンドボール 接触プレーや転倒による口腔外傷予防
スケートボード・BMX 転倒時の顔面・歯の損傷予防

顎位の安定と脳震とうの予防

マウスピースの装着により噛みしめた時の顎位が安定することで、頭や首、腰の位置が適正に保たれ、身体バランスを良好に維持できます。マウスピースを噛みしめることで首に力が入り、頭の揺れを軽減することができ、頭部への衝撃を和らげることができるため、脳震とうのリスクを低減します。

ただし、不適合なマウスピースを使用していると安定が得られずに、顎位も不安定となり、身体バランスが不良になるばかりか、接触時に衝撃の吸収や分散機能が発揮されず、かえって局所に衝撃力が集中して、障害を予防できない場合があります。
この点を考えると、市販のマウスピースよりも、歯医者で自分の口腔内に合ったマウスピースを作製したほうが効果も高く得ることができます。

心理的な効果

スポーツ時に他の選手との接触により本人が傷害を負ったり、あるいは他の選手に傷害を負わせたりする不安や恐れを、マウスピースの装着によって大幅に軽減することが可能です。
選手は傷害に対する不安が大幅に取り除かれ、リラックスした状態で安心して競技プレーに専念できることで集中力と積極性が増し、選手本来の実力を発揮できるという心理的効果が期待できます。

スポーツパフォーマンスの向上

マウスピースの装着により顎の位置が安定し、筋肉の緊張を軽減することで、身体のバランスが良好に維持されることで選手本来のスポーツパフォーマンスが安全に発揮できます。
しかし、マウスピースの装着が選手本来の筋力や運動能力を増強させるか否かに関しては十分に解明されていません。

2.スポーツ用マウスピースの
種類と値段

マウスピースにはさまざまな種類があり、値段も大きく異なります。

1.標準型(ストック型)

ストック型
  • 市販されている標準サイズのマウスピースで、最も基本的でドラッグストアやスポーツ用品店などで手軽に入手できるタイプのマウスガードです。
  • 値段も安価で数千円〜購入可能です。
  • 事前に成形された既製品で、すぐに使用することができます。
  • フィット感には個人差があり、十分な保護効果を発揮しない可能性があります。
  • 一時的な使用に適しています。

2.ボイルアンドバイト型

ボイルアンドバイト型
  • 熱湯でマウスピースを柔らかくしてから噛むことで自分の歯型に合わせることができます。
  • 一般的に数千円程度で購入できます。
  • ストックタイプに比べてフィット感が向上し、より効果的な保護が期待できます。
  • 比較的安価で手に入れやすいため、多くのアマチュアスポーツ選手に選ばれています。

3.カスタムメイド型

カスタムメイド型
  • 市歯医者や専門のラボで作成される完全オーダーメイドのマウスピースです。
  • 歯科医院で歯型を取ってマウスピースを作製し、調整します。
  • 歯だけでなく、粘膜や歯茎も型を取り作製するため、口にぴったり合ったマウスピースを作れます。
  • 年齢やスポーツの種類に合わせた素材を選択できる、オーダーメイドのマウスピースです。
  • ぴったりとフィットしているのでスポーツ中に外れることが少なく使用したまま飲み物を飲むこともできます。
  • 長時間の使用でも違和感が少ないため、プロスポーツ選手をはじめとする本格的なアスリートに推奨されています
  • 保険が適応されないので価格は数万円になることもあります。
    ※一般的に1万円~2万円程度が相場ですが、材料やオプションによって価格が変わります。

カスタムメイド型マウスピースの作成費用を抑える方法

  • 歯科医院の比較 : 複数の歯科医院で見積もりを取って比較しましょう。
  • キャンペーン : 歯科医院によっては、キャンペーンを実施している場合があります。
  • 保険適用 : 一部の歯科医院では、スポーツマウスピースの製作費用の一部が保険適用になる場合があります。

3.スポーツ用マウスピースを
使用する際の注意点

唾液が流れにくく虫歯のリスクが高まる

マウスピースは歯に密着するため、唾液による自浄作用が低下し、虫歯のリスクが高まります。
また、マウスピースをつけたまま糖分が含まれるスポーツドリンクを飲むと、歯の周りが砂糖で満たされた状態になります。スポーツドリンクを飲んだあとは、マウスピースを外してうがいをしましょう。

マウスピースが不潔になると細菌が増殖する可能性がある

口の中は細菌が多いため、マウスピースを使用したあとに洗わないまま放置すると、菌が繁殖します。できるだけ早く、清潔な水で洗うことが必要です。

温度変化に弱い

マウスピースの素材は熱に弱いため、熱湯につけると変形します。洗うときは、熱湯を使わないように注意する必要があります。(下のお手入れ方法の項目で詳しく説明します。)
また、屋外のスポーツでは、直射日光のあたるベンチは避けて、日陰に保管するように気をつけましょう。

歯肉退縮が起こる可能性がある

お口に合っていないマウスピースを使い続けると、マウスピースのふちが歯肉に当たり、歯肉が下がる可能性があります。特に、自分で形をとって作るマウスピースは適合がよくないため、注意が必要です。

4.スポーツ用マウスピースの
お手入れ方法

水道水でやさしく洗う

スポーツ用マウスピースは熱に弱い素材で作られているため、熱湯などを使うと変形や破損の原因になります。スポーツ用マウスピースを洗浄する時は水を使い、指や柔らかめの歯ブラシでやさしく擦るように汚れを落とすようにしましょう。
水だけだと汚れが落ちているのか不安だという方は食器用洗剤(中性洗剤)を使用してください。ほとんどの歯磨き粉には研磨剤が入っているので使用しないようにしましょう。

歯ブラシを持つ男性

専用の洗浄剤を使う

スポーツ用マウスピースを洗浄する際、歯科医院や薬局などで購入できる専用の洗浄剤を使用する方法もあります。週に1度はマウスピース洗浄剤で洗浄しましょう。泡の洗浄剤を使って洗うと効果的です。
目に見えない汚れや臭いなどを落とすことができ、除菌もできるため、マウスピースを清潔に保つことができます。

歯ブラシを持つ男性

決まった入れ物や場所に保管

基本的にスポーツ時のみ使用するので外している間は容器に入れて保管します。
マウスピースが入ればどの様なものでも良いですが、最近では100円均一でもマウスピース専用のケースが売られているので一つ持っていても良いかもしれません。 ケースに入れずにティッシュペーパーにくるんだり、ビニール袋に入れてしまうとゴミと間違って捨ててしまうことがあるのでケースに入れて保管することをおすすめします。
また、マウスピースの硬さによって保管方法も異なります。

  • ハードタイプ : 吸収性があるため乾燥すると変形してしまいます。容器に水を入れるなどして保管しましょう。
  • ソフトタイプ : 洗った後は必ず乾かします。しっかり乾いたことを確認してから通気性の良いケースに入れて保管しましょう。
歯ブラシを持つ男性

定期的な交換

摩耗や変形が見られる場合は、新しいマウスピースに交換することが必要です。
一般的には、年に1回の交換が推奨されていますが、使用頻度によってはそれ以上の頻度での交換が必要な場合もあります。 また、未成年の方は体が日々成長するため、顎の大きさや形の変化が大きいです。そのため、マウスピースのチェックを怠ると、気付かないうちに噛み合わせがズレて、マウスピースの効果が薄れてしまいます。
定期検診に通い、マウスピースの破損や噛み合わせを確認して、調整することが大切です。

5.まとめ

高校野球におけるマウスピースの着用は、選手の安全を確保し、パフォーマンスの向上を図るために非常に重要です。
日本では、マウスピースの装着がルールによって、あるいは各スポーツ協会などによって義務化される競技が徐々に増えており、選手の安全と健康維持のためにさらに広く普及することが予想されます。 選手一人一人が自分に最適なマウスピースを選ぶことで、安心して競技に臨むことができるでしょう。

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