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口内炎が治らない?
舌がんとの見分け方

梅田正博 監修 梅田正博 歯科医師/長崎大学・愛知学院大学歯学部教授/
日本口腔外科学会 認定専門医・指導医

【この記事のポイント】

口内炎が2週間以上治らない場合は、舌がんなど別の病気が隠れている可能性があります。
見分けるポイントは「2週間ルール(治癒期間)」「触った時の硬さ(しこり)」の2つです。
初期の舌がんは痛みがないことも多いため、痛みの有無だけで判断してはいけません。
最新の大規模研究では、早期発見・早期治療により若年層の5年生存率は94.4%と報告されています(日本口腔腫瘍学会 多施設共同研究)。
気になる症状がある方は、早めに歯科医院または口腔外科を受診しましょう。

はじめに

口内炎に悩む女性

「舌がヒリヒリする」「口内炎がなかなか治らない」
そんな不安を抱えて受診される方は少なくありません。

忙しい日々の中で「そのうち良くなるだろう」と様子を見ることも多いですが、痛みが長引くと「もしかして舌がん?」と不安になってしまうこともあるでしょう。

実際には、多くの舌の痛みは噛み傷やストレスが原因ですが、まれに「口内炎だと思っていたものが舌がんだった」ケースがあるのも事実です。

この記事では、専門医の視点から最新の学術的根拠をもとに、その見極め方を解説します。

目次

1.口内炎が2週間治らないのはなぜ? 2.口内炎と舌がんはどう見分ける?2つのチェックポイント 3.若い人の舌がんは進行が早い?最新研究データ 4.舌がんの早期発見に使えるセルフチェックリスト 5.口内炎で病院に行くべき?受診の目安 6.まとめ 7.よくある質問(FAQ)

1.口内炎が2週間治らないのはなぜ?

通常の口内炎は、1〜2週間で自然に改善します。

口腔粘膜の細胞が生まれ変わる期間は約10〜14日であり、通常の炎症であればこの期間内に治癒に向かうためです。

この期間を過ぎても改善しない、あるいは悪化する場合は、本来の『自然に治る仕組み』がうまく働いておらず、ただの炎症ではない別の病気が隠れているサインかもしれません。

2. 口内炎と舌がんはどう見分ける?
2つのチェックポイント

口内炎と舌がんを見分ける上で、最も重要なのが「2週間ルール」「硬さのチェック」です。

観点 口内炎 舌がん
治るまで 1〜2週間で治る 2週間以上治らない
触感 平ら・柔らかい 硬い・しこり(硬結)がある
舌アフタ性口内炎

舌アフタ性口内炎(一般的な口内炎)

・見た目:中心が白っぽく(または黄色っぽく)、その周りが赤く縁取られています。形は円形や楕円形が多いです。
・痛み:強い痛みがあります。醤油などの刺激物がしみるのが特徴です。
・特徴:1〜2週間以内に自然と小さくなり、跡形もなく治ります。

舌白板症

舌白板症

・見た目:舌の表面にシミができます。周りのピンク色の粘膜との境界線が比較的くっきりしています。
・痛み:ほとんどありません。 しみることも少ないため、鏡で見て初めて気づくケースが大半です。
・特徴:食べかすやカビ(カンジダ症)と違い、ガーゼなどで拭っても全く取れません。将来がん化する可能性がある、別名「前がん病変(ぜんがんびょうへん)」と呼ばれています。

舌がん(早期)

舌がん(早期)

・見た目:普通の口内炎と似ていますが、全体的に白っぽかったり、赤みが強かったりと、色がまだらに見えることがあります。
・痛み:意外にも痛みがない(または非常に少ない)ことが多いです。
・特徴:指で触れると、中心部や周りに「コリコリした硬いしこり」を感じます。また、2週間以上経っても治りません。

舌がん(進展)

舌がん(進展)

・見た目:表面がデコボコと盛り上がってきたり(カリフラワー状)、逆に深くえぐれたりします。出血しやすくなることもあります。
・痛み:がんが深く根を張るため、舌を動かした時に痛みが出たり、耳の奥まで響くような痛み(放散痛)が出たりします。
・特徴:舌が動きにくくなるため、滑舌が悪くなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりします。

このように初期の舌がんは痛くないことも多いため、「痛くないから放っておいても大丈夫だろう」と油断してはいけません。

指で触ってみて、明らかに「ここだけ硬いな」と感じる部分があれば、痛みの有無に関わらず、すぐに歯科医院もしくは口腔外科などの専門の病院を受診してください。

3. 若い人の舌がんは進行が早い?
最新研究データ

「若い人ほど進行が早く、予後(治りやすさ)が悪い」という説は、最新の大規模研究によって否定されています

日本口腔腫瘍学会が行った大規模な調査(若い世代101人と、高齢者175人を比較した研究)によると、初期段階で見つかった舌がんの場合、5年後に生存している割合は、若い世代で94.4%、高齢者で89.6%という結果でした。

つまり、「若くても高齢でも、治りやすさに大きな差はない」ことが証明されています。

それにもかかわらず、「若いと進行が早くて危ない」と思われがちなのは、がんの勢いが強いからではありません。

最大の理由は、本人や周りの人が「若い自分ががんになるはずがない」と思い込み、病院に行くのが遅れてしまうことにあります。
早く見つけて正しく治療すれば、年齢に関係なくしっかり治せる病気なのです。

根拠論文: Okuyama K, Umeda M, et al. "Multicenter retrospective analysis of clinicopathological features and prognosis of oral tongue squamous cell carcinoma in adolescent and young adult patients."
リンク: PubMed(Medicine 2021 全文公開ページ)

4. 舌がんの早期発見に使える
セルフチェックリスト

舌がんのリスクは飲酒・喫煙だけではありません。実は「歯による物理的な刺激」が大きな原因となります。ぜひ以下のセルフチェックを試してみてください。

(1)「2週間ルール」を守る

どんな症状でも2週間で治らなければ受診が原則です。痛みが弱くても受診の価値があります。

(2)鏡を見ながらチェック

当てはまる項目があれば受診推奨です。

  • 白い・赤い斑点が治らない
  • 表面のデコボコ
  • 押すと硬い(しこり)
  • 出血が続く
  • 舌が動かしにくい

(3)口内炎を繰り返す人の生活チェック

舌への刺激が続くと、粘膜の異常が治りにくくなります。

  • 歯が舌に当たっていないか
  • 詰め物・被せ物の不具合
  • 歯ぎしり・噛みしめ
  • 睡眠不足・栄養(ビタミンB不足)
  • たばこ・お酒の習慣

(4)歯科医院でできること

自分で判断がつかない場合や、刺激の原因がある場合は歯科医院へ相談しましょう。

  • 歯や詰め物の研磨・調整
  • 噛み合わせチェック
  • 舌を傷つける要因を除去
  • 必要に応じて口腔外科専門医へ紹介

ある研究データによると、お口の中にがんができた人の『約3人に1人(34.5%)は、欠けて尖ったままの歯や、合わない入れ歯などがずっと舌に当たり続けていたこと』が、がんの原因の一つになっている可能性があると分かりました。

このように「舌が常にこすれたり、刺激を受けたりしている状態」は、そうでない場合に比べて、がんになる危険性を何倍も高めてしまいます。
だからこそ、ご紹介したセルフチェックで早めに異変に気づき、すぐに対策を立てることが非常に重要なのです。

根拠論文: Kurita H, ..., Umeda M, et al. (JOOG Oral Cancer Registry). "An analysis of the impact of risk factors on the occurrence, progression, and treatment outcomes of oral squamous cell carcinoma using data from the Oral Cancer Registry in Japan". ResearchGate (Preprint). 2025.
リンク: ResearchGate

5. 口内炎で病院に行くべき?
受診の目安

口内炎の大半は自然に治りますが、2週間以上治らない口内炎"は必ずチェックすべきサインです。

最新研究でも、舌がんは年齢に関係なく起こる一方、治療の成績は若年層と高齢層でほぼ同じと分かっています。

大切なのは、「気づいたときに相談する」こと。

当院では、舌の状態を丁寧に診察し、必要に応じて追加検査や専門機関へご紹介いたします。
不安を一人で抱えず、いつでもご相談ください。

6. まとめ

まとめ

口内炎の大半は自然に治りますが、2週間以上治らない場合は必ず専門医に相談しましょう。

最新の研究では、舌がんは早期発見・早期治療で年齢に関係なく高い生存率が期待できることが分かっています。

「気になったら、まず相談」を心がけ、ご自身の健康を守りましょう。

7. よくある質問(FAQ)

2週間経っても治らない口内炎は、すべて「がん」ですか?
すべてではありませんが、口腔粘膜の再生サイクル(10〜14日)を超えて残る症状は、何らかの異常のサインです。専門医による確認を推奨します。
初期の舌がんは痛みますか?
痛みがないことも多いです。痛みよりも「触った時の硬さ(しこり)」を重視してチェックしてください。
若い世代が舌がんを早期発見するには?
「自分は若いから大丈夫」と過信せず、2週間ルールを守ることです。JOOGの研究データが示す通り、早期なら高齢者より高い生存率(94.4%)が期待できます。
口腔ケアがなぜ生存率に関係するのですか?
お口の中を清潔に保つことは、手術後の重篤な感染症や合併症を防ぎ、スムーズな回復を助ける「治療の一環」だからです。
舌がんの初期症状はどのようなものですか?
初期の舌がんは、舌の側面に治らない白い斑点や赤み、触ると硬いしこりとして現れることが多いです。痛みがないケースも多いため、見た目や触感の変化に注意してください。
舌の横にしこりがありますが舌がんですか?
しこりの全てが舌がんではありませんが、指で触って明らかに硬い部分がある場合は注意が必要です。特に2週間以上変化がない場合は、早めに歯科医院または口腔外科を受診してください。
舌がんは何科を受診すればいいですか?
まずはかかりつけの歯科医院、または口腔外科を受診してください。さくら会のありす歯科には口腔外科専門医(梅田正博)が在籍しており、必要に応じて専門機関へのご紹介も可能です。
白板症は必ずがんになりますか?
すべての白板症ががん化するわけではありませんが、「前がん病変」と呼ばれ、将来がんに変化する可能性があります。定期的な経過観察が重要です。
歯が舌に当たり続けると舌がんになりますか?
研究データでは、口腔がん患者の約34.5%に、欠けた歯や合わない入れ歯による慢性的な舌への刺激が認められています。直接の原因とは限りませんが、リスク要因の一つです。
口内炎が同じ場所に繰り返しできるのは危険ですか?
同じ場所に繰り返しできる場合は、歯や詰め物が舌を刺激している可能性があります。慢性的な刺激はがんのリスク要因となるため、歯科医院で原因を確認することをおすすめします。
舌がんの検査はどのように行いますか?
視診・触診による確認の後、疑わしい場合は組織を一部採取する生検(せいけん)を行います。さくら会では専門医による診察を行い、必要に応じて検査可能な専門機関をご紹介します。
舌がんの5年生存率はどのくらいですか?
日本口腔腫瘍学会の多施設共同研究では、早期に発見された舌がんの5年生存率は若年層で94.4%、高齢者で89.6%と報告されています。早期発見が極めて重要です。

監修者

梅田正博

歯科医師:梅田 正博

1983年 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1987年 神戸大学医学部大学院 修了
1997年 神戸大学医学部助教(手術部)
1998年 神戸大学医学部講師
(口腔外科学)
2000年 神戸大学医学部准教授
(口腔外科学)
2011年 長崎大学大学院教授
(口腔腫瘍治療学)
2024年 愛知学院大学歯学部客員 教授(口腔先天異常学研究室)
資格 日本口腔外科学会 認定専門医・指導医
梅田正博

さくら会には大学教授を勤めた歯科医師(梅田 正博)が在籍しております。

口腔外科全般・口腔癌・顎骨壊死・口腔ケアが専門の歯科医師になります。

日本口腔外科学会の専門医の資格も有しておりますので、梅田による口腔外科治療や口腔ケアをご希望の方は、ありす歯科までご相談ください。

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